概要

「旅行業務取扱管理者」は、旅行に関する資格の一つで、旅行者に旅行サービスを適正に提供するための知識・能力を持っていることを示す資格です。

年一回実施される旅行業務取扱管理者試験に合格することにより、資格を取得できます。試験は複数の選択肢の中から1つまたは複数の解答を選ぶ多肢選択式のマークシート方式で、各科目100点中60点以上の正解で合格です。近年の合格率は、国内で30-40%、総合で20-30%です。

2004年(平成16年)度以前は「旅行業務取扱主任者」と呼ばれていましたが、旅行業法が改正され名称が変更になりました。

この資格は一度取得すると(剥奪されない限りは)一生有効であり、更新の必要はありません。受験資格は特に定められていません。

旅行業務取扱管理者の職務

では、旅行業務取扱管理者になったらどのような仕事を行うのでしょうか。

旅行業法に定められているところによると、旅行業務取扱管理者は、旅行代理店など旅行会社の営業所において次の事柄に関する事務を行います。

  1. 旅行取引条件の明確性の確保
  2. 旅行に関するサービスの提供の確実性と、その他取引の公正の確保
  3. 旅行の安全と旅行者の利便の確保

[旅行業法第11条の2]

これらを簡単に説明すると、次のようになります。

  1. は、お客さんに旅行サービスの内容がよく分かるように説明したり、広告をしたりするということです。
  2. は、アクシデントにより予定していた旅行が行えない場合にも、元のサービスと同等なものを提供できるようにすることや、どう対応するかを予めお客さんに知らせておくということです。星空観測や海水浴、露天風呂など、天気に影響を受けやすい旅行も多くあります。また列車など交通機関の運行が止まることもありますね。
  3. は、例えば極端ではありますが、危険な地域への旅行にはライフルを持ったボディーガードを付けることをするなどです。(実際にそういう海外ツアーもあります。)

 

旅行業法施行規則には、もう少し詳しく旅行業務取扱管理者の職務が定められています。

全国旅行業協会のページで規則の内容がわかりやすく説明してありますので、そこから引用します。

  1. 企画旅行の旅行計画の適正な作成
  2. 料金表の掲示
  3. 旅行業約款の掲示
  4. 取引条件の説明
  5. 契約書面の交付
  6. 適正な広告の実施
  7. 旅程管理のための必要な措置:旅程管理業務を行う主任の者を通じた管理・監督
  8. 旅行に関する的確な苦情処理
  9. 契約内容に係る重要な事項についての明確な記録または関係書類の保管
  10. 上記に掲げるもののほか、取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項

[全国旅行業協会 国内旅行取扱管理者試験とは http://www.anta.or.jp/exam/shiken/setsumei.html ]

仕事内容がわかってきましたでしょうか。

オフィスで行う仕事ばかりとお思いになったかもしれませんね。旅行業法に「事務を行わせなければならない」と定められているように、旅行取扱管理者は旅行に関係する事務を行います。なお、ツアーに添乗する資格には、これとは別に「旅程管理主任者」という資格があります。

意識していないと気づかないですが、旅行会社の窓口には約款や料金表が掲げてあります。その料金表や旅行業約款を掲示するのも仕事のうちです。機会があれば、旅行会社の窓口に行ったときに壁を見回してみてください。

このように、お客さんに適切な旅行サービスを提供できるよう管理・監督に関する事務を行うのが旅行取扱管理者です。

国家資格

旅行業務取扱管理者は、旅行業法(旧旅行あっ旋業法)で定められた国家資格です。旅行に関する検定は多数ありますが、国家資格であるものはそれほど多くありません。

旅行業務取扱管理者は、旅行に関する仕事に携わりたいと考えたとき、はじめに目に止まる資格でしょう。

旅行に関係する資格検定

参考までに、以下に旅行に関する資格検定の一例を挙げます。

  • 旅行業務取扱管理者 (当該資格。旅行業法にて規定される国家資格。試験で取得。)
  • 旅程管理主任者   (主任添乗員。旅行業法にて規定される国家資格。実務と研修で取得。)
  • 通訳案内士     (通訳と旅行案内。通訳案内士法にて規定される国家資格。試験で取得。)
  • 旅行地理検定
  • インターネット旅行情報士検定
  • 観光英語検定
  • 日本の宿 おもてなし検定

主任添乗員(ツアーコンダクター)の資格である旅程管理主任者は、研修で取得しますが、旅行業に従事している人でないと研修を受けることが出来ません。一方で、旅行業務取扱管理者は受験資格に制限がないことから、学生でも受験することができます。

通訳案内士は、外国人に対する旅行ガイドの資格です。資格がないと旅行ガイドはできないんですね。英語など外国語が話せる方はチャレンジしてみると良いでしょう。

旅行業務取扱管理者は、これから旅行業への就職を目指そうとする方におすすめの資格です。

必置資格

旅行業者は各営業所ごとに最低1人以上「旅行業務取扱管理者」を選任し、定められた管理及び監督業務を行わせることが旅行業法で義務付けられています。そのため、旅行業務取扱管理者は必置資格の一つです。

必置資格は一般的には、関連業種への就職や会社内での昇進に有利と言われます。

なぜ資格を所持した人がいないと、旅行を販売できないことになっているのでしょうか。

それは旅行業は、モノを提供するわけではなくサービスを提供するからです。旅行はモノのように、お客さんが実際に手にとって内容を確かめてから購入する、ということができないため、お客さんが内容を正確に把握したり、把握した通りのものを手に入れることが難しい商品です。

旅行業法というお客さんを保護する決まりに従って、旅行の販売・提供の事務を行うのが、旅行業務取扱管理者の仕事です。

国内と総合の二種類

旅行業務取扱管理者には、「国内旅行業務取扱管理者」と「総合旅行業務取扱管理者」の二種類があります。

国内旅行業務取扱管理者は、国内旅行のみを取り扱うことができますが、一方で総合旅行業務取扱管理者は、国内旅行だけでなく海外旅行も取り扱うことができます。

必置資格という観点でいうと、国内旅行のみを取り扱う営業所では、取扱管理者として「国内旅行業務取扱管理者」と「総合旅行業務取扱管理者」のどちらを選任してもよいことになっています。

しかし、それ以外の海外旅行も取り扱う営業所においては、「総合旅行業務取扱管理者」を選任する必要があります。

[旅行業法第11条の2]

海外旅行の人気は一頃に比べると収まってきたとはいえ、国内旅行のみを取り扱う営業所ばかりでないことや、幅広く活躍する場を得るという意味でも、最終的には「総合旅行業務取扱管理者」の取得を目指すことをお勧めいたします。