シャッペスパンとキングスパンの3つの違い。

シャッペスパンもキングスパンも、ポリエステル100%の糸である点は同じです。

違い

シャッペスパンは他のポリエステルスパン糸と違い、シルクシステムという特殊な加工方法で作られています。ポリエステルの強さに、綿のような布なじみの良さ、絹のようななめらかさと光沢を兼ね備えているので、丈夫で縫いやすいだけでなく、美しく縫い上がるのです。

シャッペスパンとキングスパンの違いは、シャッペスパンのほうが加工にひと手間かかっており、丈夫で光沢がある糸だということです。また、多くの家庭用ミシンの糸調子は、シャッペスパンを基準に調整されているので美しく縫うことができます。価格もシャッペスパンのほうが高いです。

キングスパンは、コストを抑えた「工業用」の糸です。既製服などにも使われているような普通グレードの糸です。色数や太さは、キングスパンのほうが種類が多いです。

 

1ヶ月に1着くらいしか縫わないよ〜という方は、シャッペスパンのほうが縫い上がりが美しく、ミシントラブルも少なく、良いでしょう。

一方で、家庭で使う方でも、大量に服を縫うので糸は安いほうがよい、という場合にはキングスパンを使うのがおすすめです。

 

次の3つの違いについて、もう少し詳しく見てみます。

• なめらかさ
• 強さ・伸び
• 色数・太さ

なめらかさ

シャッペスパンは、他のスパン糸よりもケバが少ないので、ミシンの中のホコリが出にくく、ミシンのトラブルを軽減します。

キングスパンを使う場合は、ミシンのホコリ取りもより念入りにするようにしましょう。家庭用ミシンの説明書には、毎使用後にホコリを取ること〜と書いてあると思いますが、だんだん不精になっている、という方は注意です。

強さ・伸び

シャッペスパンは、他のポリエステルスパン糸と比べて、平均2.5~3倍ほどの長さの繊維を使用しており、強度が強いです。

 

60番で比較すると、シャッペスパンはキングスパンよりも15%強度が強いです。

	品番	Tex	構成	繊度 dtex	強力 N(gf)	伸度 (%)	糸長	常備 色数	使用針 (号)
シャッペスパンミシン糸	♯60	−	60s 1×3	310	12.5 (1,280)	13	700m 200m	67 300	9～14
キングスパンミシン糸	♯60	27	60s 1×3	305	10.8 (1,100)	17	10,000m 5,000m 3,000m	3 411 417	11～14

またキングスパンよりも伸びにくいです。

色数・太さ

キングスパンのほうが糸の色数は多いです。

60番で比較すると、シャッペスパンは300色(200 m品)で、キングスパンは417色(3000 m品)です。

とはいえ3000 m巻で多数の色を揃えるとしまっておくのが大変ですので、作品ごとに少量使う糸はシャッペスパンの200 mで、よく使う糸はキングスパンの3000/5000 mでという揃え方が普通なのではないかと思います。

 

なお、シャッペスパンとキングスパンで色番は統一されているように思いますが、光沢・質感の違いもありますから完全に同じ色ということにはなりません。シャッペスパンにあって、キングスパンにない色番号もあります。

どちらかのカラーサンプル帳だけを購入するなら、シャッペスパンのほうが少量ずつ購入でき多色を揃えやすいことから、シャッペスパンの色見本帳のほうがおすすめです。

 

糸の太さは、シャッペスパンは30 / 60 / 90の3種類で、キングスパンは別注を含めると120 ~ 4まで多種類があります。

とはいえ、家庭では 30 / 60 / 90番以外を使うことってあまりないような気がします。

まとめ

このようにシャッペスパンは、丈夫で縫いやすいだけでなく、美しく縫いあがる家庭用糸です。200 mの少量から購入できますので、大量に使用しないのであれば、シャッペスパンのほうがおすすめです。

よく使う色はすぐに使い切ってしまって困る、という場合は、価格の安い工業用のキングスパン糸がおすすめです。家庭用ミシンの糸コマに入らない場合は、糸たてを使用するとよいでしょう。

参考

• フジックス シャッペスパン ミシン糸 公式ページ
• フジックス キングスパン 公式ページ